20年くらい前に書籍用に書いた物語です。
結局、企画が流れてしまったので出版はされませんでしたが。
せっかくなのでネット上にて公開しておくことにしました。
子供向けですので、大人にはちょっとアレですが、退屈しのぎにお楽しみください。
★魔女ってなあに?
魔女というと、みなさんはどんなイメージをだくでしょう? 白雪姫に出てくる、おそろしい継母でしょうか? ヘンゼルとグレーテルのお菓子の家に住むおばあさんのこと?
多くの人が、こうしたおとぎはなしに出てくるような、ほうきに乗って空を飛ぶわし鼻でいじわるな顔をしたおばあさんという姿をイメージするのではないでしょうか。
けれどもそれは大きなまちがい。そうしたイメージはまったくの誤解なのです。
実際の魔女は、ほうきにのって空を飛ぶことはありませんし、人に悪い魔法をかけていじわるをするようなことは絶対にしないものなのです。
では、いったい魔女とはどんな人なのか、魔女についてすこしお話しましょう。
魔女というのは、自然をうやまい、自然から知恵やめぐみを分けてもらって生活している人々のことをいいます。住んでいるところはさまざまですが、魔女の仲間は国や人種を問わず、世界中あちこちに存在しています。自然や動物たちと共存している人たちはみな魔女の仲間です。
★魔女のしごと
魔女は自然となかよく暮らすことを大切にしています。だから、大地や自然を守ります。同時に人間の生活を守ることも考えます。そして、人間と自然がバランスよく共存していくことを考えて、そのお手伝いをしなければなりません。つまり、自然を守り、自然と人間との橋わたしをするのが、魔女の役割なのです。
また、自然から分けてもらった知恵を人のために使うこと、これも魔女の大切なお仕事です。
そして、何よりも大切な魔女のお仕事は、人々の幸福を祈ること、家族や身近な人々の助けになることをして、それらの人々の生活を支えていくことなのです。
★魔法ってなあに?
「ものを育てる」「世話をする」。これは魔法の基本です。なぜかというと、魔法というのは、願いごとをかなえたり、夢を実現させるという、人の思いや可能性を大きく育てる作業だからです。たとえば小さなひとつぶの種をその何百倍もの大きさに育てて、花を咲かせて、実をならせてまたそこから種が熟して増えていくというように……。
人が何かの目的や願いをもって行動していくこと、それはすべて魔法です。人が成しえること、ものを作ること、創造することはみんな魔法です。
そして、魔法は他人を思いやり、誰かのためになにかしてあげたいと思う心を持った人のみが使えます。なぜなら、思いやりがなく、他人のために手をさしのべることのできない人は、小さな思いを大きく育てていくことはできないからです。